CPAエクセレントパートナーズ株式会社は、会計ファイナンス人材の育成を軸に、近年はJリーグやB.LEAGUEのアスリートに向けたキャリアマネジメントや会計リテラシー向上の支援に力を入れています。スポーツの熱狂と、会計という冷静なロジック。一見対極にあるこの二つを掛け合わせ、アスリートのセカンドキャリアやクラブ経営に新たな価値を生み出すことが、私たちのミッションです。

その象徴とも言える挑戦者が、今回の主役です。パートナーシップを結ぶJFL所属のサッカークラブ「クリアソン新宿」で、昨シーズン限りでスパイクを脱いだ石井圭太さん。

19歳でプロの世界に飛び込んだ当時は「確定申告って何それ?」という状態だった彼が、現役生活を終えた今、手にしているのはボールではなく、分厚い英語の会計テキストです。

なぜ、日本の会計士ではなく、あえて英語の壁がある「USCPA(米国公認会計士)」なのか?その大胆不敵とも言える挑戦を支えるCPA会計学院の吉田悠人講師と共に、常識を覆すキャリア戦略と、スポーツ界に投じる新たな可能性に迫ります。


プロフィール

石井圭太 5歳からサッカーを始め、高卒で、横浜FCユースから昇格してプロ入り。横浜FC、いわてグルージャ盛岡でプレーし、2023年にクリアソン新宿へ加入。2025シーズン限りで現役を引退。現役選手中に日商簿記3級・2級を取得。現在はクラブスタッフとして経理・運営業務に携わりながら、USCPAの全科目合格を目指して学習中。

吉田悠人 CPA会計学院 USCPA講座 講師 / 米国公認会計士事業会社での営業職を経て、USCPAを取得。大手監査法人での経験を持ち、グローバル企業での連結経理やファイナンスの実務を経て、現在は講師として活躍。「会計×英語」を武器にキャリアを広げる面白さを伝える熱血指導が人気。


「確定申告って何?」19歳の高卒ルーキーが簿記に出会うまで

吉田
まずは長年の現役生活、本当にお疲れ様でした。引退を決断された今の心境はいかがですか?

石井
ありがとうございます。物心ついた頃から父の影響でサッカーを始め、19歳でプロになってからずっと突っ走ってきました。「日本代表になってW杯に出る」、「J1で活躍する」といった子供の頃の夢がすべて叶ったわけではありません。ですが、日々全力でやり切ってきた実感があるので、引退を決めたことに後悔はなく、むしろ今は次の道へ進めるワクワク感の方が大きいですね。

吉田
全力でやり切ったからこそ、次への一歩が踏み出せるのですね。石井さんは現役時代に簿記2級を取得されていますが、そもそもサッカー漬けの日々の中で、なぜ「簿記」に興味を持たれたのですか?

石井
きっかけは、プロ1年目で受けた新人研修です。Jリーガーになると、全クラブの新人選手が集められて研修を受けるのですが、そこで確定申告の話が出たんです。「君たちは個人事業主だから、自分で税金を申告しなきゃいけないんだよ」と言われて。当時は確定申告という言葉を初めて聞くレベルでしたが、2月頃になると先輩たちが領収書を集めて慌ただしくしているのを見て、「これは自分も理解しないとまずいぞ」と。それで調べ始めたら、「どうやら簿記という知識が必要らしい」と繋がったのが最初の出会いですね。

吉田
確定申告の実務から簿記に興味を持つのは、個人事業主であるアスリートならではの入り口ですね。そこからすぐに資格取得を?

石井
いえ、実際に行動に移したのはもう少し後です。20代前半の頃、チームを転々とする中で、午前は練習、午後は保険代理店で営業の仕事をする時期がありました。そこでビジネスの基礎に触れたこともあり、2022年頃に、取得しました。ただ、その勢いで2級にも挑戦したんですが……その時は挫折してしまったんです。

「昨日の自分に勝つ」。挫折を乗り越えた“1日1時間”の鉄の掟

吉田
3級と2級の間には工業簿記という高い壁がありますからね。一度挫折してしまった2級に、なぜもう一度挑もうと思われたのですか?

石井
一度諦めた自分へのリベンジです。2024年に、仕事でCPAエクセレントパートナーズさんに関わらせていただく機会が増え、会計の世界が身近になりました。そこで「あの時逃げ出した自分に勝ちたい」という気持ちが炎が燃え上がったんです。今回は絶対にやり切ると決め、「1日1時間は必ず勉強する」というルールを自分に課しました。

吉田
現役選手としての練習や試合がある中で、毎日1時間の確保は簡単ではないはずです。いつ勉強されていたんですか?

石井
隙間時間ですね。練習場への移動中や、遠征のバスの中。テキストを見るだけでもいいから、とにかく毎日、会計に触れる時間を作りました。特に試合の日は、遠征で移動時間が長いので、逆に勉強のチャンスなんです。試合に負けて落ち込んでいる時や、体がきつい時もありましたが、「やる」と決めて淡々と机に向かう。そうすると、不思議と気持ちが切り替わって、サッカーにも良い影響が出始めました。

吉田
勉強がメンタルの切り替えになるというのは面白いですね。

石井
サッカーは水物で、どれだけ努力しても勝てるとは限りません。でも、勉強は裏切りません。やればやった分だけ知識が増え、実力が右肩上がりで伸びていく。この確実な成長の実感が、不安定な勝負の世界に身を置く自分にとって、精神的な安定剤になっていたのかもしれません。結果、1年かけて簿記2級に合格し、自分自身に勝つことができました。

なぜ「日本の会計士」ではなく「USCPA」なのか?

吉田
簿記2級を取得され、次は日本の公認会計士……ではなく、米国公認会計士(USCPA)を選ばれました。なぜ、あえて英語の壁があるUSCPAだったのでしょうか?

石井
正直に言うと、最初は「高卒で英語も喋れない自分にUSCPAなんて無理だ」と思い込んでいました。受験資格すらないだろうと。でも、転機はクリアソン新宿とCPAさんのイベントでした。そこでCPA会計学院の方とお話しして、「高卒でも手順を踏めば受験できるし、働きながら合格している人はたくさんいる」と教えてもらったんです。

吉田
そこで可能性の扉が開いたわけですね。

石井
はい。それにクリアソン新宿は「世界一のサッカークラブを目指す」というビジョンを掲げています。新宿という街は外国人が非常に多く、日常的に世界を感じる環境です。将来、クラブがJリーグに昇格し、海外事業を展開していく未来を想像した時、「会計×英語」のスキルがあれば、もっとクラブに貢献できる。USCPAを取得すれば世界への架け橋になれるかもしれない。そう思ったら、もう迷いはありませんでした。

吉田
「自分のため」だけでなく、「クラブの未来のため」という視点が素晴らしいです。英語への苦手意識はどう克服されていますか?

石井
今も苦戦中です(笑)。でも、吉田先生が講義で「これ1回で分かったら天才です、分からなくて当たり前」と言ってくださるのが救いです。「あ、今は分からなくていいんだ」と開き直って、とにかく継続することだけに集中しています。

「1年半」の短期決戦。引退直後の新たなキックオフ

吉田
引退された今、学習スケジュールはどのように組み立てていますか?

石井
引退した翌日から、頭を切り替えて受験生モードに入りました。現在はFAR(財務会計)の講義を一通り見終えたところです。実は、自分の中でタイムリミットを決めていて。Jリーグのシーズンが移行期に入る関係で、次のシーズンが終わるのが2027年の6月、つまり約1年半後なんです。この1年半を勝負の期間と定め、そこまでに全科目合格を目指しています。

吉田
明確なゴール設定ですね。そこから逆算して、受験戦略も練られているわけですね。

石井
はい。現在の単位取得ペースだと最短で2026年の7月には受験要件を満たせる見込みなので、まずはそこをターゲットにモンタナ州で出願する予定です。現役時代は体のケアで朝早く起きるのが難しかったですが、今はその制約がないので、朝型の生活に切り替えて勉強時間を確保しています。この1年半で結果を出すために、今はとにかく突っ走るつもりです。

吉田
今後、USCPAを取得した後のキャリアビジョンをお聞かせください。

石井
まずはクラブの経営管理や経理の実務に入り込みたいです。今はまだ補助的な業務ですが、知識を使って数字を分析し、「売上だけでなく費用対効果はどうなのか」といった経営的な視点でクラブを支えたい。そして将来的には、海外との交渉や事業展開にも貢献していくことをイメージしながら、とてもワクワクした気持ちで勉強に励んでいきたいです。

吉田
石井さんのように、スポーツで培った「やり切る力」を持つ人材が会計知識を持つことは、ビジネス界にとっても大きな希望だと思います。

石井
そう言っていただけると嬉しいです。M&Aの現場など、短期間でハードな成果を求められる場面でも、アスリートの体力と集中力は武器になると思います。元サッカー選手だからではなく、ビジネスのプロフェッショナルとして評価されるようになりたいですね。

吉田
最後に、セカンドキャリアに悩むアスリートや、新しい挑戦を迷っている方へメッセージをお願いします。

石井
僕は「高卒だから」「英語ができないから」と自分で限界を決めていました。でも、一歩踏み出して継続すれば、必ず景色は変わります。誰でもチャレンジすることには価値がある。そして、継続することで自分自身が成長し、より価値のある人間になれる。その結果、人生はもっと豊かになります。 僕もまだ挑戦の途中です。この「USCPA」というパスポートを手に入れて、新しい世界へ飛び込みたいと思います。一緒に頑張りましょう!

「高卒だから」「英語ができないから」。そんな言葉で自らの限界を決めつけず、引退した翌日から新たなフィールド・USCPAへ走り出した石井選手。その姿は、私たちに「挑戦を始めるのに、遅すぎることも早すぎることもない」と教えてくれます。

ピッチの上で培った不屈の精神は、ビジネスの世界でも必ずや大きな武器になるはずです。CPAエクセレントパートナーズは、クリアソン新宿とのパートナーシップを通じ、石井選手のように「過去の自分」を超えようとするすべての挑戦者を、全力でサポートし続けます。